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モンゴルのナーダムのけいばムルンとサルタイ

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モンゴルのナーダムのけいば
ムルンとサルタイ

7月の11日と12日、モンゴルの
草原では、夏のお祭り「ナーダム」
が行われます。「ナーダム」では、
弓、すもう、けいばの競技があり
ます。モンゴルの馬は小柄なので、
長いきょりをはしるけいばの乗り
手には、体重の軽いこどもがむい
ています。
こどもたちはみんな、けいばで、
よい成績をあげるのがほこりです。
楽しみの少ない草原のこどもたち
は、年に一度のナーダムのけいば
を首をながくしてまっています。


ムルンとサルタイ

モンゴルの 草原の朝が、ゆっくりと あけていきます。
草原の 生きものたちが 目をさまします。
6月に はいったばかりの 朝の空気は、まだ つめたく
きーんと しています。

ひとりの少年が、ゲル(モンゴル草原の家)から、とびだしてきました。
ムルンです。ムルンは すぐに、サルタイのところへ かけていきました。
サルタイは、5さいになる馬です。ひたいに まあるい もようが
あるので、サルタイ(お月さまがある)って、よばれています。
ムルンは、きのうの夜のことを おもいだしていました。

とうさんが、とつぜん こう いったのです。
「ムルン、おまえも もう 8さいだ。ことしこそ、
サルタイにのって ナーダムのけいばに でるんだ」
「いやだよ」
ムルンが 小さな声で いうと、馬のことなら
なんでも しっている じいちゃんが いいました。
「サルタイは いい馬じゃ。人間の気持ちが わかるし、
はしるのが はやい。そうは いない馬だよ。」
「けいばは いやだ。こわいよ」
ムルンの目は、みるみる なみだで
いっぱいになりました。

「草原の子は、5、6さいになると、だれもが
けいばに でる。妹のアヨーシだって でたがってるよ。
ムルンに できないわけが ないよ」
ばあちゃんに やさしく いわれて、ムルンは すこし
気持ちが おちついてきました。
「ムルンは サルタイのことが すきじゃなかったのかい?
だいすきな サルタイと いっしょだったら、ぜったい
だいじょうぶ!」
かあさんも はげましてくれます。
「サルタイとなら はしれるかもしれない………」
ムルンは、だんだん そんな気が してきました。

「ムルンは、ずいぶん はやく おきましたねぇ」
乳しぼりがおわった かあさんが、とうさんに いいました。
ムルンが 今朝 早起きして、まっさきに サルタイの
ところへ かけていったわけを、かあさんも とうさんも
ちゃんと しっていました。
夕べから、ムルンの 小さなむねは、サルタイとはしる
けいばのことで いっぱいなのです。
でも ふたりは、なにも いいませんでした。
ムルンが、自分で のりこえていくしか ないことですから。

その日から けいばの くんれんが、はじまりました。
ムルンと サルタイの 気持ちを あわせることが、いちばん
大切です。とうさんは、短いきょりを なんども なんども
はしらせました。なれてくると、全速力で はしるときの
ムチの ふりかたも おしえました。
「大きく うでを まわせ!」
「かたから ふりまわすのだ!」
「もっと強く うて! よーし、その調子だ!」

くんれんは、毎日 つづきました。ムルンは 馬とくらす
草原の子です。けいばにでる ほこらしさや、はしるときの
からだじゅうの血が わきたつような よろこびを、
とうさんは ムルンにも あじあわせたいのです。
からだが 大きくなってからでは、むずかしいのです。
とうさんの そんな思いが つたわったのか、ムルンは
はしって はしって はしりつづけました。

6月も 半分が すぎました。
ある日、サルタイの走りが きゅうに おそくなりました。
「なれない ムルンを のせて、つかれが でたのかもしれんなあ」
とうさんは、サルタイを すこし やすませることにしました。
「やっぱり ぼくは だめなのかなあ」
「ムルン、すぐに くじけては だめ」
かあさんが、いいました。

しんぱいした ダワーにいちゃんが、サルタイにのって はしって
みました。やっぱり ようすが へんです。
とうさんは、サルタイのからだを よく しらべました。
「これは、はらぐあいを わるくしているな」
すぐに、つぶした牛の骨を 牛フンのうえで もやし、あがった
けむりのなかに、サルタイの頭を おしこみました。けむりの
においを かがせて なおすのです。
サルタイは 歯をむきだし、首をふって あばれます。
はげしい風や雨の日も、太陽がてりつける 暑い日も たちつづけて、
からだを きたえる くんれんに まけなかった サルタイなのに、
ムルンは、心のなかで サルタイに
やくそくしました。
こうして なんどか けむりの
ちりょうをすると、サルタイは
すっかり 元気になりました。

ナーダムの日が ちかづいてくると、サルタイは 毛布を からだに
まいて はしるようになりました。あせを たくさん だして、
からだを 軽くするためです。
サルタイは、長いきょりを ゆっくりと はしります。そんなとき、
ムルンは いつも 「ギンゴー」を うたいます。ギンゴーは、
馬を 元気にする モンゴル草原のうたです。
ムルンのうた声は、風にのって、広い草原を ながれていきます。

ある日、ダワーにいちゃんが、羊の放牧に さそいました。
ムルンは、サルタイにのって、ついていきました。
風が、さぁーーーっと ふいてきて、雲が ながれていきます。
ムルンは、ナーダムの日が まちどおしくなってきました。

とうとう サーダムの日が、やってきました。すばらしい天気です。
ムルンは、ばあちゃんが つくってくれた 新しい服を 身につけ、
とても たのもしく みえます。サルタイは 耳を
ピンとたてて、ヒーンホホーと
声たかく なきました。

「気をつけて はしるんだよ」
かあさんが、おいわいの 馬乳酒を ムルンに のませました。
「サルタイよ、ムルンを まもっておくれ」
ばあちゃんは、サルタイの 頭や足に 馬乳酒を ふりかけました。
とうさんたちが、ムルンに つきそって 出発です。

けいばの場所は、見物の人で いっぱいです。
ムルンが 出場するのは、5さい馬の レースです。
28キロのきょりを はしります。

ムルンとサルタイは、スタート地点へ むかいました。
けいばに でる馬が、つぎつぎ あつまってきます。
ムルンは、とうさんが おしえてくれたことを
ぜんぶ やろうと、おもっていました。

合図のはたが ふられ、400頭ちかい馬が いっせいに
はしりだしました。
ものすごい 砂けむりです。パシッ パシッと、顔に 小石が
とんできます。馬と馬が ぶつかり、砂が 目にはいって、
なにも みえません。

「3キロくらいまでは、おそらく 砂けむりが すごいだろうが、
サルタイにまかせて はしるんだ」
とうさんは、そう おしえてくれました。でも、サルタイが はやく
はしろうとするのに、ムルンは こわくて、ただ ただ たづなを
にぎりしめていました。

しばらくすると、砂けむりが ようやく おさまりました。
遠くに ぼんやりと 馬のすがたが みえます。ずいぶん
はなされてしまったと、ムルンは 不安になりました。
サルタイも ペースを みだされ、とても つかれています。
ムルンは、からだの横で ムチを まわして リズムをとり、
「ゴーーオー、ゴーオ」と かけ声を かけました。

ヒューン ヒューンと 風をきる ムチの音と、ムルンの
明るく すんだ かけ声が ひびきあいます。
サルタイは 元気をとりもどしました。
「大きなあなに 気をつけろ」
「からだを ひくくしろ」
「ペースを あげていけ」
耳のおくで、とうさんの声が きこえてきます。

すぐ前に、数頭の馬が はしっています。
「サルタイ、あの馬を ぬこう」
ムルンは、たづなで つたえました。

みるみるうちに、たくさんの馬を ぬきました。
遠くに、人の波と はたが みえてきました。
「サルタイ、ゴールが 近いぞ。もっと スピードをあげよう」

サルタイが、ラストスパートに はいりました。ぐんぐん
スピードが あがります。ムルンとサルタイは、
ひとつになって はしっています。
見物の人たちが、はっきりと みえてきました。
ムルンは 右へ左へと、さらに 大きく 強く、
ムチを ふりました。

レースは、おわりました。
「やったぞー サルタイ。
ありがとう、サルタイ!」

とうさんも じいちゃんも、「無事でもどってくれば 十分だ」と、
おもっていました。ところが、ムルンは みごとな 追いあげをみせ、
ゴールしたのです。こんな うれしいことは ありません。
「ムルン、おまえは やっぱり 草原の子だ!」

「にいちゃん、ぼく、なんとうだった?」
「おう、真ん中よりは ずっと はやかったぞ」

にいちゃんも、うれしそうでした。
ムルンは、来年も サルタイといっしょに、
ナーダムのけいばに でる、そう きめていました。

「さあ、かえるぞ。かあさんたちが まっている」
とうさんが いいました。
4人のかげが 長く のびて、草原の一日が ゆっくりと
くれていきます。
ナーダムが おわると、秋は もうすぐです。


2004ねん9がつ1にち はっこう
えほん・こどものまつり
ーモンゴルの「ナーダムのけいば」ー


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