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【独自】厚労省の「カスハラ対策」資料で偏見助長のおそれ 「高齢者などへの差別にあたる」抗議受け削除|TBS NEWS DIG

厚生労働省が行う事業のホームページに掲載されていた「カスタマーハラスメント」対策の資料が「高齢者などへの差別にあたる」と抗議を受け、削除されたことが分かりました。

「職場におけるハラスメント対策」と書かれた資料。これは、厚生労働省が行うハラスメントに関する事業のホームページに掲載されたもので、「カスタマーハラスメント」への対策などがまとめられています。

資料には「威張りちらす行為」をする人の傾向として、こう書かれています。

「社会的地位の高い人、高かった人、定年退職したシニア層などに傾向が見られる」

資料をもとに「ハラスメント対策研修動画」も作られ、公開されていました。

資料もとにした動画の音声
「 社会的地位の高かった人、そして、定年退職したシニア層などに、残念ながらこういう傾向がみられるということがわかっています」

厚労省は取材に対し、「サービス業の労働組合が行ったアンケートを参考にした」としています。

そのアンケートによると、確かにカスハラをした人の推定年齢は60代と70代で半数を占めます。しかし…

厚労省に抗議した人
「厚生労働省は高齢者を差別しているのかなと、心苦しく、残念な気持ちになってしまった」

この男性は「『社会的地位の高かった人』や『シニア層』などと特定の人たちだけを名指しすることは誤解を招く」として、厚労省に抗議したといいます。

厚労省に抗議した人
「私が高齢者になって店に行ったとき、『高齢者が来た』 『この人はクレーマーなんじゃないか』『カスハラするんじゃないか』とか思われるようになったら嫌だなと思う」

名指しされた当事者たちは…

元取締役(70代)
「定年退職したからそういう傾向が見られるというのは、ちょっと納得がいかない。(カスハラは)嫌だなと思っているだけに、押しつけるようなことはしたくない」

元部長クラス(60代)
「これだけ見れば、『この人たちだけがこうなる』と勘違いしやすいと思う。(表現が)甘い。必ずしもこの人たちだけじゃない」

元中間管理職(80代)
「シニア層だと一方的に決めつけられると、私自身も嫌。定年退職したシニア層などに傾向が見られるとか、地位の高い人だとか、そういうことは関係ないと思う。どんな人でもそういうことは起きる」

厚労省に「社会的地位の高かった人たち」と書かれた根拠を聞いてみると。

厚労省雇用環境・均等局 担当者
「資料を作成した委託先の担当者の経験と知見に基づいて書かれた」

そのうえで、厚労省は「『社会的地位の高かった人たち』にカスハラをする人が多いというデータは確認していない」としています。

厚労省雇用環境・均等局 担当者
「資料をご覧になられた方が不快な思いをされる可能性があると判断しました」

厚労省は資料を取り下げて、現在は「社会的地位の高かった人たち」などと書かれた部分を削除した新たな資料を掲載しています。

「カスハラ」への対策が求められる一方、誤解や偏見が広がらないよう配慮が求められています。

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